“mezzotint



 下水道から街に侵入した頃には、すでに手遅れだった。ヤツ
は月の使徒となるべく雷光に打たれ、廃墟となった街はうすら
寒い光に包まれた。                   

 血の気の失せた白壁に、墓穴が恨めしそうな口を開けている。
乾いた風が古ぼけた匂いを運んでくる。狂った男の狂態を、俺
だけが見ていた。